AI時代のホームページは「作れた」だけで大丈夫? 詐欺とセキュリティの注意点
AIによる個別化詐欺、日本のWordPress注意喚起、AI生成サイトの確認点から、ホームページを安全に使い続けるための考え方を動画丸の視点で整理します。

自分の仕事や、会社の取り組みをよく知っているようなメールが届く。そんなとき、「ここまで知っているなら本物だろう」と感じるかもしれません。
しかし、公開されている情報を集めて、相手に合わせた文章を作ることは、AIでも可能になっています。
便利になったAIを仕事に生かす一方で、受け取る情報や、自社のホームページの安全性をどう確認するか。どこを確かめればよいのでしょう。研究や公式の案内を見ながら、制作会社の動画丸として考えておきたい点を整理します。
AIは「自分向けの詐欺メール」も安く作れる
USENIX Security 2026で発表された研究では、大学職員7,741人を対象に、複数のフィッシング手法を比較しています。一般的なメールのクリック率が約4%だったのに対し、公開情報を使ってAIが個別化したメールは10.0%でした。検索・推論・文章生成を含む推定費用は、1通あたり約0.03ドルと報告されています。 [1]
これはリンクのクリック率であり、口座への侵入や不正送金の成功率ではありません。また、AIが常に人間より巧妙だったという結果でもありません。
注目したいのは、以前は手間のかかった「相手に合わせた文章づくり」を、安く大量に行える点です。自分の仕事に詳しいことや、自然な日本語であることだけでは、相手の正当性を判断しにくくなっています。
メールの見極めと、ホームページの安全性は別の対策
こうしたメールへの対策と、HPの不具合を悪用されないための対策は、同じものではありません。HPの構造を変えるだけで、届く詐欺メールまで防げるわけではないからです。
一方、事業者には、メールや管理アカウントを守ることと、自社サイトを適切に管理することの両方が必要です。そこで次に、HP側で見落としやすい点を見ていきます。
日本でも、WordPressの更新を促す注意喚起が出ています
IPAは2026年7月22日、WordPressの脆弱性「CVE-2026-60137」「CVE-2026-63030」、通称wp2shellへの対策情報を公開しました。影響する構成では遠隔からコードを実行される可能性があり、修正版への更新が推奨されています。 [2]
この情報は、すべてのWordPressが同じ状態にあるという意味ではありません。対象のバージョンや構成を確認して対処する必要があります。過去の警告にある修正版を、現在の最新版と取り違えないことも大切です。
WordPressは、機能を追加しやすく、多様なサイトに使える仕組みです。その一方、自分たちで管理する構成では、本体、テーマ、プラグイン、サーバー環境など、更新や保守の担当を決めておく必要があります。管理されたホスティングを使う場合も、提供元が担う範囲を確かめましょう。
WordPress公式も、更新、権限の管理、バックアップなどを継続する重要性を説明しています。 [3]
制作した人が分からなくなった、更新すると表示が崩れるので止めている、使っていない追加機能が残っている。こうした状態なら、まず現在の構成と管理方法を整理することが先決です。
チャットAIで作ったHPも、表示できれば完成とは限りません
AIに依頼すると、短時間で見栄えのよいページやコードを作れるようになりました。ただし、画面が表示できることと、安全に運用できることは別です。
例えば、問い合わせ内容を誰が読めるのか。入力された内容をサーバー側でも確認しているか。外部サービスの秘密の鍵が、ブラウザから見えるコードに入っていないか。こうした点は、完成画面を見るだけでは判断できません。
GitHubも、AIのコード提案にはセキュリティ上のリスクがあり、確認とテストが必要だと説明しています。 [4]
これは「AIで作ったから危険」という話ではありません。人が作った場合も含め、必要な確認を省略して公開することが問題です。フォームや会員機能などを追加すれば、確認する範囲も変わります。
動画丸が考える、作る速さと管理しやすさの両立
動画丸は、動画・ホームページ・SNSなどの企画・制作を行う会社です。セキュリティ会社として侵入調査や常時監視を提供する立場ではありませんが、制作段階で選ぶ構造と、公開後の管理方法は大切にしています。HP制作・改修でも、何を作るかと一緒に、誰がどう管理するかを考えます。
当社では、Wix Managed HeadlessとAstroを組み合わせた制作基盤を活用しています。管理やデータ更新を担う機能と、訪問者が見る画面の役割を分け、案件に必要な機能や公開範囲を確認しながら組み立てる考え方です。
既存の技術基盤を使うことで、毎回ゼロから組み上げる工数を抑え、安全性を保ちやすい構造を短期間で構築することを目指しています。
ただし、基盤を選ぶだけですべての安全性が決まるわけではありません。Wixが提供する基盤の保護と、独自に作るコード、外部連携、利用者のアカウント管理は、分けて確認する必要があります。 [5] 制作時の担当範囲は、HPのセキュリティについての案内にもまとめています。
AIは制作を速くする道具になります。その速さを、確認を省くためではなく、内容や使い勝手、運用まで整えるために生かしたいと考えています。
まずは、この5点を確かめてみてください
HP、ドメイン、メールの管理担当は誰か。
更新や保守を、誰がどこまで担当しているか。
管理アカウントに二段階認証を設定し、不要な権限を残していないか。
問い合わせ情報の保存先と、閲覧できる人が明確か。
不具合が起きたときの連絡先と、復旧方法が分かるか。
また、メールでログインや支払いを求められた場合は、そのリンクから操作する前に、普段使う公式サイトや、既知の連絡先から確認する習慣も大切です。
ホームページは、作れた瞬間だけでなく、その後も事業に使い続けられることが重要です。現在のHPの管理方法や、作り直し・改修の進め方が気になる方は、動画丸へご相談ください。
参考にした研究・公式資料
[1] USENIX Security 2026:A Large-Scale Study of Personalized Phishing using Large Language Models
[4] GitHub公式:Application card: GitHub Copilot inline suggestions
研究の詳しい方法や比較条件は、USENIXの論文(PDF)で確認できます。


